及川恒平 『引き潮』コンサート
聴松閣 2001年11月18日
 開場4:00 開演4:30
歌・ギター 及川恒平
チェンバロ 高橋 全
楽器調律 若木宏支
記   録 安田博一 


日泰寺
このお隣がライブ会場のある揚輝荘内 聴松閣です。
紅葉が見事でした。



入口付近(すいません、またまたお写真に映ってしまいました!)
階段を地下へ下りて行くと、ライブ会場の聴松閣があります。


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プログラム
 
コンサート
第1部
及川恒平ソロ 

   1.長い歌(詞/及川恒平 曲/原茂)
   2.心変わり(詞/サトーハチロー 曲/及川恒平)
   3.花の季節の歌(詞曲/及川恒平)
   4.髪の毛を切る(詞/阿久悠 曲/及川恒平)
   5.冒険者よ(詞/及川恒平 曲/本田修二)

及川恒平+高橋全

   6.私の家(詞/及川恒平 曲/原茂)
   7.雨が空から降れば(詞/別役実 曲/小室等)
   8.冬の音(詞曲/及川恒平)
   9.シルクロード(詞曲/及川恒平)
  10.夏・二人で(詞曲/及川恒平)
  11.ガラスの言葉(詞/及川恒平 曲/吉田拓郎)

休憩
第2部
高橋全
チェンバロ独奏

  13.平均律クラビィーア曲集第一巻(J・S・バッハ)

及川恒平+高橋全

  14.ジェルソミーナ(詩及川恒平 イタリア映画主題歌)
  15.金属メルヘン(詞曲/及川恒平)
  16.歌よ(詞曲/及川恒平)
  17.天のしずく(詞/及川恒平 曲/坂本龍一)
  18.引き潮(詞曲/及川恒平)
  19.面影橋から(詞/田中伸彦・及川恒平 曲/及川恒平)

 

    アンコール

    おやすみなさい(詞曲/及川恒平)
    出発の歌(詞/及川恒平 曲/小室等)


 今回のオフ会は3時集合だったが、コンサート会場の入口のチラシがまだ貼ってなかったので、よくわからないままりゅうさんと高橋さんと開場待ちをしている。
 結局違う入口があることがわかり、そちらから入場。
 会場の揚輝荘の庭のモミジがきれいに紅葉していて、写真を何枚も撮ってしまった。
 名古屋のコンサートはいつもアートと音楽が融合しているような会場が多くて、これも楽しみだったりする。
 今回も地下がコンサート会場になっている建物。外観は和風なのに、中はイギリス館のような洋風の建物。
 受付でプログラムとホッカイロをもらう。そんなに寒いのかな?と思ったが・・・。
 きららさん・ななこさん・本多さん等と合流。
 そのままライブ会場の聴松閣に入り、例のごとく一番前の席を占める。
 聴松閣は古い建物だが、円形の可愛らしい舞台がある。
 チェンバロの椅子も恒平さんの椅子も木製の雰囲気のある物だった。
 
    

 会場の横に設置されたお花のオブジェに向かって恒平さんは「さみだれ川」を歌ってから登場。

 今回の会場の飾り付けは、小川さん作ということだった。
 恒平さんは小川さんの作品について、力のある作品でファンであること、作品に捧げるつもりで「さみだれ川」を歌ってみたと言われていた。
 温度差があるのでチューニングをさせて下さいとまずチューニングから。
 今回の服装は玉虫色のジャケットに黒のタートル、黒のスラックスにグレーの靴下という服装だった。
 ジャケットは袖の部分が切り替えになったおしゃれなステキなもので、恒平さんによく似合っていた(^_^)。

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   1.長い歌(詞/及川恒平 曲/原茂)
   2.心変わり(詞/サトーハチロー 曲/及川恒平)

 「長い歌」は、原さんの乾いた叙情といった声と違って、恒平さんの声は暖かい伸びやかな優しさに溢れた声だった。
 恒平さんの声を聴いて、あ〜今日も来てよかったと思う、恒平さんの声を聴きに来たことを実感する。
 恒平さんを聞き出してからいったい何年になるのだろうか?
 恒平さんの歌を聴きながら歩いてきた時間の方が、そうではない時間より長いことに気づいてしまった・・・(-_-;)。
 色んな人の色んな音楽を聴くけれど、最後はやっぱりいつも恒平さんに帰って行くのだが、これからもそうなんだろうな〜。
 この場所にいられる色んな人やいろんなことに感謝する。
 前は原さんの声で歌う「長い歌」が好きだったが、今は恒平さんの「長い歌」の方が好きかもしれない・・・。

 厳しい季節のこんな時間帯に来てくれてありがとう。
 建物のまわりの紅葉、びっくりする環境で歌えること、集まることができた。
 最近作った歌を歌うことが多いが、今日は昔の歌を多く歌ってみたい。
 新しいCDのセルフカバー、人に提供した歌を自分もチャレンジしたい・・・。

   3.花の季節の歌(詞曲/及川恒平)

 歌うことが本当に楽しそうで、とてもにこやかな笑顔だった。
 ギターもリズミカルで・・・。
 恒平さんのホームページでこの曲のことを書いているが、恒平さんの育った環境の花は高山植物が主流だったとは・・・。
 山歩きをするようになって、野草や高山植物の可憐さに惹かれることが多いが、恒平さんは、フツーの花を見るために電車を途中下車していた日々があったのか〜。高山植物に比較して、フツーの花はとっても力強い。

   4.髪の毛を切る(詞/阿久悠 曲/及川恒平)

 録音してからレコード会社を移籍したので、キング ベルウッドのお蔵入り?
 当時国吉良一さん(最近は鉄道員などの映画音楽担当)と組んでいた時期の作品であること。

 季節は春の芝生の上 白い蝶々が舞う そんな季節の中
 君ははさみを持ち 僕のうしろに立ち 髪の毛を切る
 タバコをくわえしかめた顔 肩にかかった髪 風にふわっと舞い 
 なぜかやさしい日が 僕に降り注いでいる 髪の毛を切る

 天気がいいから外に出て 髪でも切ると言っただけ
 何も なにも 何も なにも 何もないのさ

 季節は春の芝生の上 赤いペンキを今 塗ったばかりの椅子
 これを横目で見て 人が通って行く 髪の毛を切る
 不思議な春の二人の午後 君はラジオをかけ 歌を歌いながら
 妙に手慣れた手で 無駄な話もせずに 髪の毛を切る 

 天気がいいから外に出て 髪でも切ると言っただけ
 何も なにも 何も なにも 何もないのさ

 「髪の毛を切るという、だからどうってこともないのですが」と恒平さんは言っていたが、とってもいい詞だし、とってもいい曲だと思う。
 ベルウッドレコードでちゃんと録音したがお蔵入りになってしまった曲とか。
 まだまだたくさんのいい曲が恒平さんの心の中にしまい込まれていそうな気がする。
 少しずつ聴かせていただけてうれしい。

  5.冒険者よ(詞/及川恒平 曲/本田修二)

 及川恒平とペーパーランドの経緯は恒平さんのホームページの歌のはなしに詳しいが、この曲はペーパーランドのメロディアスな曲のイメージとは違って、やっぱり今の恒平さんらしい歌い方だなと思う。
 そして恒平さんらしい歌い方も新鮮でよかった。
 しかし、高校生でCSN&Yをコピーするバンドなんて・・・(-_-;)、スゴすぎる。


 
及川恒平+高橋全

 ここから高橋さんが登場。まず、チェンバロの説明をしていただく。
 スチール(真鍮)の弦を鳥の羽ではじく楽器。最近はプラステックなど化学的なものではじくとか。
 チェンバロを見るのは初めてで、その装飾のきれいさに目をみはった。
 チャンバロというと、音楽の時間に習ったバッハのイメージで、荘厳な古典的なイメージを持っていたが・・・。

   6.私の家(詞/及川恒平 曲/原茂)

 ギターとチェンバロの豊かな音で、音に厚みがあって何だかとっても暖かい気持ちになる。
 恒平さんはとっても気持ちよさそうに歌っている。声も伸びやかだ。
 この曲も原さんの声のイメージが強くて、ウエストコーストのかおりがすると恒平さんは書いていた。
 「キングサーモンのいる島」の中ではピアノとギターで歌われているので、ギターとチェンバロという組み合わせも本来に戻ったというべきか。


   7.雨が空から降れば(詞/別役実 曲/小室等)

 チェンバロのソロから始まった。チェンバロの独特な音が響く。
 歌い始めたら、いつもの恒平さんの聞き慣れた声がやさしく心に響いてくる。
 「ん・・・・・」のハミングの低い声がなんと心に迫ってくることか。
 この曲も「面影橋から」とともに、長い間歌われている、おなじみの曲だ。

 久しぶりに歌うとレコーディングを思い出す。
 三人、チェンバロのチューニング・セッティングの若木さんと高橋さんのレコーディング、面白かったね、と恒平さん。
 チェンバロは繊細な楽器で、雨や湿度、チェンバロが嫌いな人が来てもダメなんだよね。
 ピアノのように弦が巻いてなくて、寒さに弱く一本の線なので、簡単に伸びたりするとも・・・。

 高橋さんは指先が冷たいのかホッカイロで指先を暖めていた。
 コンサート中は寒いと思わなかったが、コンサート終了後、足下から震えてきて、随分寒かったんだと実感する。

   8.冬の音(詞曲/及川恒平)

 ライブはフォークソングを再び歌おうと思ったきっかけだった。
 「冬の音」は講談社のコマーシャルソングになっていた曲と恒平さん・・・。
 恒平さんはなんだかとってもうれしそうな顔をして歌っていた。
 チェンバロは竪琴のようなハープのような音にも聞こえる、色んな音色に聞こえる不思議な楽器だ。もちろんアコスティックギターのようにも・・・。
 「冬の音」の途中から「遠い山の向こうの知らない町よ いつか馬車に乗って行きたい町よ 飾り窓の店のあるという町 ポプラ並木のあるという町」を経てまた「冬の音」に戻って行く構成。
 ここでチェンバロの弦が切れたようで、寒さに弱い楽器であること、ピアノのように弦が巻いてなくて、一本の弦を張ってあるだけなので、簡単に伸びたりするそうです。

   9.シルクロード(詞曲/及川恒平)

 コンサートは毎回違う、その曲を借りてその時の気分を歌っている、今日の「シロクロード」を聴いてくださいと恒平さん。
 ギターソロから始まる。音に厚みがあって、にぎやかな「シルクロード」になった気がする。
 恒平さんは今の場所に留まってはいない。常に新しいものに向かって前へ進んでいる。
 私たちもついて歩いて行かねば・・・という思いを新たにする。

  10.夏・二人で(詞曲/及川恒平)

 カポタスト、時々間違ってはめちゃう、困るのは彼ですと高橋さんの方を見る恒平さん。

 恒平さんは今日はなんて楽しそうに歌っているんだろうか。
 チェンバロと一緒にやれることが本当に楽しそうだ。
 そういえば9月の櫻やさんのコンサートの時も、チェンバロとやりたいと言っていたっけ。
 ギターのトレモロ奏法のようなチェンバロの音。琴のような堅い音色という気がする。


  11.ガラスの言葉(詞/及川恒平 曲/吉田拓郎)

 聴松閣の建物をあるだけで雰囲気のある建物。リハーサルでやって来て上の方からミシミシと音が聞こえてきておびえていた人は若木君ですと恒平さん。
 「ガラスの言葉」はジャズっぽいチェンバロのアレンジ。
 ギターとチェンバロの音が響き合っている。恒平さんはリズミカルで本当に楽しそうだった。

休憩

第2部

高橋全
チェンバロ独奏

  13.平均律クラヴィーア曲集第一巻(J・S・バッハ)

 高橋さんが出てこないので「高橋さんが行方不明なので・・・。こんなこともあろうかと、こういう時でないと歌えない歌を」と、恒平さんはちあきなおみさんの「喝采」をギターの伴奏で歌う。情感のたっぷりこもった何ともやさしい声で歌い始めた。
 「もーしもーし、ちあきさんには復活してほしいなあ〜と思います。高橋全さんに登場してもらいます。」

 高橋さんは黒のタートルネックと茶色のコーデュロイのパンツで登場。
 チェンバロは寒いと音が出ない。チェンバロはピアノの前身、本当はうそですがそう考えて結構です。ルネッサンス後期〜バロックのかけて。作曲家で言えばバッハとモーツアルト。バッハはチェンバロの曲しか作っていないが、亡くなる直前にはピアノの前身が、モーツアルトはピアノの曲しか書いていないが、子供の頃はチェンバロを弾いていた。
 「平均律クラヴィーア曲集」のクラヴィーアとは現代ではピアノと訳されているが、鍵盤楽器のチェンバロ・オルガンのこと。平均律にはプレリュード(前奏曲)とフーガがあります、というような内容の説明がありました。

 高橋さんは恒平さんの曲の時にはとっても楽しそうにチェンバロを弾いていたが、この曲の時には真剣な顔をして弾いていた。
 会場は一転してクラシック音楽のコンサート会場になってバロックの時代へタイムスリップ。

及川恒平+高橋全

  14.ジェルソミーナ(詩及川恒平 イタリア映画主題歌)

 こんな曲の後はやりにくいと恒平さんは言いながら・・・。
 チェンバロの伴奏だけで恒平さんのギターはなくて、最初の出だしはつぶやくような言葉から始まった。
 チェンバロの伴奏はギターっぽくて、恒平さんのハーモニカのメロディーの美しくせつないこと。


  15.金属メルヘン(詞曲/及川恒平)

 いつもの恒平さんのギターの伴奏をチェンバロで演奏していて、畳みかけるような音色。
 恒平さんの歌声は半音上がる音程の不思議な音階。最後は「取り残されておりました」のアカペラで終わる。 

  16.歌よ(詞曲/及川恒平)

 つぶやくような歌い出し、チェンバロの旋律に乗せてだんだんとメロディアスになってゆく。
 またチェンバロの音がだんだんと豊かに広がって行く。
 「常なる日々よ」の所では手を胸に当てて、歌に対する思いを込めて歌っている。
 ギターを弾いていないので、手に表情がある。
 「歌よ」は甘くせつなく力強くそしてやさしい。
 歌に対する恒平さんの豊かな思いが込められている。
 チェンバロはピアノっぽい使われ方をしていた。

 廊下を上がって行った所に新CD発売記念コンサートなのに、新CD発売コーナーがひっそりあるが、ちょっと僕らしい。

  17.天のしずく(詞/及川恒平 曲/坂本龍一)

 アルペジオのように始まる音の繰り返し。
 チェンバロの音が降り注いでくるように、恒平さんのやさしい声も降り注いでくる、静かに胸にしみ込んでくる。
 「天のしずく降るよ 全ての上に」というフレーズも深い意味がある気がする。
 動物・植物・人・山・川・家・町・国・世界とどんどんイメージが広がって、この夜は何千個という流星雨までも降ってしまった〜。

  18.引き潮(詞曲/及川恒平)

 「天のしずく」に引き続いて「引き潮」に移る。
 ギターでワンフレーズ、「かぎろい〜」からチェンバロが入り違和感なくチェンバロに移行してゆく。
 今回のアルバムのタイトルにもなった「引き潮」、詞がよくて深い味わいがある。
 

  19.面影橋から(詞/田中伸彦・及川恒平 曲/及川恒平)

 僕がこうして皆さんの前にあるのはこの曲があるからと、今日のコンサートのラストにしましたと恒平さんの言葉。
 ギターの聞き慣れたフレーズから始まった。
 夜も更けて足下から寒さがわき上がってくるようだ。
 高橋さんも指先が冷たそう〜。
 この日本的な叙情の歌にマッチしているチェンバロ、二人の息もぴったり合っている。
 短いが充実した時間は過ぎ去るのが早い。
 今日は恒平さんの声・ギターの音・チェンバロの音色と聞き分けて忙しかった〜。
 でもとってもよかったコンサートだった。色んな方をジョイントすることで恒平さんの可能性が広がってゆく。

 

    アンコール

 「ありがとうございました。それでは用意してあるんで。CDの中にある曲とない曲を。CD聴いてくれている方はいいですが、僕の旅立ちの歌は旅立ててないので」と恒平さん。

    おやすみなさい(詞曲/及川恒平)

 この曲がアンコールで聴けるとは思わなかった・・・(^_^)。
 心にしみ込むやさしい歌声で、恒平さんの歌っている笑顔が印象的だった。
 「おなかがすいた」「何にしましょうか」のフレーズはつぶやくようなせりふっぽい歌い方だった。
 間奏のチェンバロとギターの音色、恒平さんのハミングがぴったり合って心地よかった。
 いつまでも聴いていたいと思うのに、時間は容赦なく過ぎてゆく。

    出発の歌(詞/及川恒平 曲/小室等)

 恒平さんと一緒にこの曲を歌えるとは思っていなかった。
 上条さんの力強い歌い方に比べて恒平さんの歌い方は優しい。
 コーラスの部分をみんなで歌う。恒平さんも名残惜しそうにもう1回とみんなで歌う。
 待ちに待ったコンサートもこれで終了。

 CDにサインをお願いするななこさんときららさん。
 高橋さんのお写真を1枚も撮れなかったので、写真をお願いする。笑顔がとってもステキに撮れました。

 

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(高橋さんのご了解を得載せさせていただいています。)

 恒平さんにCDにサインをしてもらうりゅうさん、きららさん。そこで恒平さんと少しお話。
 BBSで話題になった曲目を書くことについて、今回のライブは新CDの発売記念なので、演奏する曲目は限られている。
 だから演奏される曲は予想がつくことなどなど。曲目などは旧BBSに書くことにする。
 今日は恒平さんは笑顔で歌っていたという感想に、恋の歌などしかめっ面では歌えないしねと恒平さん。
 会場の床がピカピカだったときららさんが言うと、昨日磨いたとのこと。
 話は尽きず名残惜しかったが、りゅうさん・きららさん・ななこさんと駅に向かう。

 

コンサートその後

 「alaska 風のような物語」の中で星野道夫さんが「生きている不思議さ」について書いている。アラスカに生きる動物を通して実は、自分自身が生きていることの不思議さを見ているのだということを。
 恒平さんのコンサートに行って歌声を聞くことで、実は恒平さんというフィルターを通して自分自身を見つめているのかもしれないなとも思う。
 誠実に謙虚にしかし色んな可能性にチャレンジする恒平さんの音楽に対する前向きな姿勢を見ることで、元気や暖かさを分けてもらう。また明日からの生きる力をもらっている気がする。音楽の力は大きい。
 何はともあれ、やっぱり恒平さんの音楽が好きだ。

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