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僻村塾記録

平成15年度第2回僻村塾
「俳句の楽しさW」  鷹羽 狩行氏

 地名(俳枕)の重要性について
 歌枕に対する言葉で昭和61年頃、尾形仂先生により復活
 300年前江戸時代俳句の本の名前
 
 俳句ブーム 
   第1次(昭和30年代)電化により主婦に時間的余裕
   第2次(昭和48年)オイルショックにより生産第一主義の反省
    物作りに専念することで、自然からの復讐(公害)、心の大切さ
    西欧もベトナム戦争の反省により物質文明よりも精神
    高齢化社会をむかえ、心の支え、自分史を書くことの流行。
   第3次(昭和60年代)俳句の国際化
   第4次(平成1〜2年)バブルの崩壊
    不況時に庶民(弱者)の味方になる俳句が見直された
   第5次(平成14年)日本語ブーム 後世に残す美しい日本語(文語)
    文語(古典・雅語)を古典として読むのではなく、文語を使って作る。

 俳句人口 2千万人?平成15年1月NHKホールで行われた全国俳句大会に8万句の応募 3000人の出席。紅白歌合戦に匹敵する国民的教養文芸の祭典
 新宿の俳句文学館(世界俳句資料センター)には子規以降の資料全てが揃う。
 インドの英日日刊新聞の編集長が俳句文化を知りたいと訪ねてくる。
 俳句を全く知らない人にどう説明したらよいのか?
 インドを訪問した時に作った俳句の英訳を紹介
 「沐浴の中のひとりが泳ぎ出す」
 編集長・・・面白い。祈りの時に太陽に向かって泳ぐ。さらに信仰を深めるため。私・・・泳ぎ出すとは何事だ、違和感を詠んだ。俳句の国際化は大変。
 「古池やかわず飛び込む水の音」・・・英訳が100通りあり。
 
 季語の説明・・・17文字の中に複雑なことを言える
 季語は季節感という絶大なエネルギーを持つ
 「目にあてて 海が透くなり 桜貝」 松本たかし(1906−1956)
 しじみ・あさり・蛤・・・春の季語(生活実感) 桜貝・・・春の渚に打ち上げられ、海の水に洗われ薄くなり美しい 暗く長い冬を越えてむかえた春の喜び 近代詩ともいえるような美しい俳句
 外国人が母国語で作ると季語が入らない
 世界で一番短い三行詩というイメージ

 海外日本人学校 250校余り
 海外移住が作る俳句
 ブラジル・サンパウロの俳句の選者を長年やっている
 日本の23倍の国土、行くのに一日かかる
 「かけとりも 国広ければ 飛行機で」
 かけとりという死語に近い言葉との対比の面白さ

 俳句の中で一番大切なのは季語 次に大切なのは地名(俳枕)
 短歌の枕詞は100足らず、俳枕は無限にある
 歳時記は今までは 春 夏 秋 冬 新年・・・縦糸       地域別 横糸

 芭蕉・・・四季・恋・別離・地名・旅は季語がなくてもよいのでは?
 「発句も四季のみならず無季の句のありたきものなり」(あってもよいのではないか?)
 尾道<ー>9つの島を10の橋で結ぶ・・・しまなみ街道(広辞苑に載っていない 島並ー山並 公募で歴史が浅い)
 陸奥・・・「みちのくの雪深ければ雪女郎」 

 地名の詠み方 そのまま詠む場合
           前書きとして詠む場合
  「夏草や 兵どもが 夢のあと」・・・義経の悲惨な死・生と死・戦争と平和
 S44 アメリカ・アーリントン墓地(南北戦争からベトナム戦争までの兵士の墓)で、芝生の上を歩きながらこの句を思い出した・・・芭蕉のすごさ 時間・空間・国境の枠を超す
 「五月雨をあつめてはやし最上川」
 日本中の梅雨を集める。まみむめもが多いことで全体の調べが漂う
 音楽の調べと土地の言葉がマッチする
 「奈良七重七堂伽藍八重桜」 芭蕉
 「な」で始まり「ら」で終わる
 「荒海や佐渡に横たふ天の川」・・・「あ」音、雄大・広大という含蓄あり
 佐渡は流人の島・調べの力で引き立てる

 絵はがきのような句・・・行かない人にはわからない
 海外俳句・・・日本人が海外旅行で作った句
 在外詠・・・・・日本人が外国にいて作る句

  子どもの句にいいものが多い 「ロンドンの街全体が花畑」
  長い冬、5月に春夏の花が一斉に咲く、May flower
  「雪解けてウィーンの森が動き出す」 
  ワルツ・音楽の都にのびのびと枝を伸ばす木々

 「季語ひとつ探したらむは後世のよきたまものなり」
 名句の出現により季語になる
 「万緑の中に吾子の歯生え揃う」・・・中村草田男
 繁り・新緑・青葉・若葉・・・万緑は漢詩の中の言葉
 「何もかも知っておるなり竈猫」
 風の盆・阿波踊り
 盆踊り・・・秋の季語
 地名の名句によって俳枕に昇格する
 熱海の海岸・数寄屋橋・・・今では橋もない
 自然を守る・土地を守る
 行政上は消えても古い地名を残すことで古い物を守る
 枕星庵(高橋氏の白峰の別荘) 
 H10・・・「星を枕に 白山の 眠りたる」
 「白山に 聞かれており 炉辺話」
 H13・・・前書きに高橋治氏「お花畑を 村におこさん はかりごと」
 「白山へ 献上の様 花畑」

 山・川を詠む

 鳥海山(ちょうかい)や 四万十川(しまんと)
 山を省いて解るのは富士山のみ 

 Q 漢字を使うのか、ひらがなを使うのか?
 A 辞書を引くのを面倒がらず辞書と友達になる
   つよい→強い(男性的)ひらがな(女性的)で書くと弱い
   まさおなる 空より しだれざくら 富安風生(1885〜1979)
   真青なる×     ひらがな的感じ、これ以外にない
   山又山 山桜又 山桜 阿波野青畝
   水墨画・俳画のような雰囲気を出したい
   俳句は漢字とひらがなの混合
   山口誓子 「地名に寄りかかるな」
   「樺太の天ぞ垂れたり鰊群来」
   安易に地名を入れない、地名にもたれることを戒めるため
   詩とは本来わからないもの、混沌 解釈も幾通りもある
   100%わかるものではない
   「むざんやな甲の下のキリギリス」
   むざんと言わないで作るが、無惨としか言いようがない場合、そのことが全て(例外のない原則はない)
   戦争のむなしさを直接詠むには俳句は適していない
   「天地の地のあるがぎり鍬始め」・・・21世紀初頭に作る
   アフガニスタンの復興を思わせるという評・・・解釈は時代や価値観で変わる。俳句は時代を超えて複数の解釈ができる
   BS俳句王国 6000句の応募
   特選  「春光や百万石の古瓦」
   春の明るい光、いぶし銀のかかった百万石の古い町並みを彷彿させる。名詞のみ。俳句は名詞の文学。    

 

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