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僻村塾記録「白峰村の織物と東アジアの機織り文化」 吉本忍氏
                   「アイヌの衣服文化」 本田優子氏   H16.4.25 13:30〜 望岳苑

「白峰村の織物と東アジアの機織り文化」 国立民族学博物館教授 吉本忍氏

 はじめに

 文化人類学・民俗学の研究
 インドネシア ティモール島に学生時代に行き、幻のかすりに出会う
 呉服屋に生まれ、美大(染と織コース) 版画・個展を開く
 ジャワ更紗→世界中・日本中を動き回る

 土器の技術→陶磁器に引き継がれる
 織の技術→新石器時代から現代まで必要欠くべからざるものとしてある
 編の技術
 美的関心が中心で、技術 色と形の意味することの研究が立ち後れている
 基盤・背景が置き去りにされている

 経済学・・・織の重要性を知っている。産業革命・・・動力 テキスタイル
 イギリスがインドを植民地化・・・インドの織をイギリスに持ち込む→大量生産のため糸を紡ぐ 織・・・蒸気機関
 I・T革命 コンピュータをベースに機織機を改良
                     開く・閉じるの2進法
 道具・・・機織機ほど複雑な機械はないのでは?
 バリ島・・・縦横かすり 輪になる織物→ヒンズー教の輪廻思想 手・足・腰・錘・・・縦糸の張力を加減している

 機の分類方法がなかった・・・学問は抜けている所ばかり
 知的興奮 先端で切り開く・開拓する
 良いものに出会い今まで解決のつかなかったことがぱらりと解る
 何の役に立つのか? 今あるものをそのまま肯定して今までの裏を知らない(具体的な技術と腕)
               買う・作る・・・持つことに敬意(リスペクト)がない
 アトラシ・・・芭蕉布(かつては労働着)今は工芸品 お金とは別の価値 労働力・素材を見る目
 嘆いてはいない、変化だから仕方がない。商品であっても作った人・物に敬意を持つべき

 織物・・・糸あるいは糸に類する綿状物をタテ糸とヨコ糸とし、あらかじめ直線的に配置され、張力を備えているタテ糸に対して、ヨコ糸を直線的に交叉させることによって組織された製品

 機がなくても織れる。昔は自分で織っていた
 固い土を掘る・・・棒→木→スコップ→パワーシャベル→ダイナマイト

織りの技術と織機(タテ糸の張力にもとづく分類)

 @織機を必要としない織り・・・タテ糸の一方を織り手の足、片方を織り手の手で引っ張ることでタテ糸に張力を付ける
                   わらじ(八丈島) ぞうり(イラン)
 A手織りによる機織り・・・タテ糸の一方を棒に固定し、他方を織り手の手で引っ張ることでタテ糸に張力を付ける
 B足機による機織り・・・タテ糸の一方を棒に固定し、他方を織り手の足で引っ張ることでタテ糸に張力を付ける
 C腰機による機織り・1・・・タテ糸の一方を織り手の足、他方を腰で引っ張ることでタテ糸に張力を付ける
 D腰機による機織り・2・・・タテ糸の一方を棒に固定し、他方を織り手の腰で引っ張ることでタテ糸に張力を付ける
 E地機による機織り・・・タテ糸の一方を棒杭、あるいは二本の杭に渡された横木に固定し、他方も棒(二本の杭に渡された横木)に固定して引っ張ることでタテ糸に張力を付ける
 F枠機による機織り・・・タテ糸の一方を枠を構成している棒に固定し、他方も枠を構成している棒に固定して引っ張ることでタテ糸に張力を付ける
 G錘り機による機織り・1・・・タテ糸の一方を棒に固定し、他方を錘りで引っ張ることでタテ糸に張力を付ける
 H錘り機による機織り・2・・・タテ糸の一方を枠を構成している棒に固定し、他方を錘りで引っ張ることでタテ糸に張力を付ける
 I錘り機による機織り・3・・・タテ糸の一方を錘り、他方を錘りで引っ張ることでタテ糸に張力を付ける

 手・足・腰・錘・・・タテ糸の張力を加減「している
 棒と棒よりも無理がない、糸に優しい→織の風合いに影響しているはずだ!
 シルクロード・・・全部錘を使っている。錘を通しての交流(ヨーロッパ〜日本)

東アジアの機織り文化と織機

 @織機を必要としない織り(ワラジ作り)・・・日本(アイヌ人・日本人)・朝鮮半島・中国(雲南省の白族)
 A手織による機織り(ワラジ作り)・・・日本(日本人)
 C腰機による機織り・1・・・台湾(ユミ族とプユマ族以外の原住民)・中国(海南島の黎族)
 D腰機による機織り・2・・・日本(アイヌ人・日本人)・朝鮮半島・中国・台湾(ユミ族・プユマ族) 傾斜ー羽咋・青森・秋田・広島・白峰
 E地機による機織り・・・中国(ウイグル自治区のウイグル族)
 F枠機による機織り(ムシロ機・絨毯用織機・高機などを含む)・・・日本(日本人)・朝鮮半島・中国
 H錘り機による機織り・2(高機の類型)・・・日本(日本人)・中国

 汎用機の歴史的展開

 腰機から高機へ
   タテ糸の保持方式:腰+棒    →   棒+棒
   綜絖の種類    :輪状綜絖   →   番目綜絖
   綜絖の開口操作 :手動または足引き→ 足踏み

 白峰村の綜絖の特質 ・・・世界文化遺産そのもの!

  ・腰機的要素と高機的要素の折衷型式(腰当てがない) 福井県勝山・鯖江にもあり
  ・東アジア機織り文化圏における希有の型式
                      これをどう考えるのか・・・頭を悩ませなければならない
 むすび
  ・伝統の再認識

 「アイヌの衣服文化」 本田優子氏

 二風谷 アイヌ民族資料館 金沢市出身 北海道大学卒 萱野茂氏に学ぶ アイヌ文化指導員
 「二つの風の谷」箸

 1 衣服の分類

 (1)自製品
   ・動物を素材とする衣服
    a 獣皮衣: 陸獣・・・クマ・シカ・キツネ・テンなど
            海獣・・・オットセイ・アザラシ・ラッコrakkoなど
    b 魚皮衣: サケ・、マス、イトウなど
    c 鳥羽ね衣: エトピリカetupirika、シノリガモなど
   ・植物の靱皮を素材とする衣服
    a 樹皮衣 アットゥシ attus:内皮(温泉・沼につける 10日〜1月 流水で洗う)
           オヒョウ・ハルニレ・シナノキ・オオバボダイジュなど
    b 草皮衣 レタラペ retarape
           イラクサ(エゾイラクサ、ムカゴイラクサ)、ツルウメモドキなど
   ・外来の素材を用いた服: 主として木綿衣 文様に地域差
 (2)外来品
   ・中国大陸から: 蝦夷地
   ・和人社会から: 小袖、陣羽織

 2 衣服をめぐるいくつかの論点

 (1)交易の民としてのアイヌ
   1264,1284〜86「北の元寇」→1297 アムール川下流で元と交戦→1308講和
   北のシルクロード 北の交易網が弱くなった(周辺の弱い所から)
 (2)南部文化の融合 素材・・・南の要素、文様・・・北の要素
 (3)右衽と左衽(右前・左前)
   論争  小中華思想 和人社会の視線の投影
 (4)「伝統的衣服アットゥシ」の産出と流通  労働着

 北海道の文書資料 1600年代から多くなる 1700年代後半 和人の記録
 和人ーアイヌーシサム(本当の隣人)
       ↓
     カムイ(汎神論的(精神的力強い)

  池澤先生

 自然の中での経験を閉ざしてしまう・取り上げてしまう・・・どうしようもない所にきているのでは?
 自然に親しむ・・・やさしさ・恐さを知ることが大切
 アイヌの子どもたち・・・普通 私たちの夢を押しつけていないか?
 今のアイヌの現実とは全く違う
 他者として見る→沖縄が合わせる・・・10年前よりよくなったのかそうでないのか
 町並みの美しさ・・・文化財保存 住んでいる人は不快に我慢
 沖縄文化は消費されている、いずれ飽きられて他へ行く

 鉛筆を削る(肥後の守)・・・身体知がなくなっている 物との会話がある
 コンピュータ・・・同じ会話しか帰ってこない 世界をなめている
 我々はどこに立っているのか? 商業主義に毒されている
 文化財保護には組しない、決めるのは当事者 残る物は残る
 
 吉岡氏 
 白峰の機・・・今の世界に生かすことはできる
 学者・研究者・・・色々な間違いをおかす 
   二風谷の映像記録を作る話・・・撮影の段階から疑問・・・開拓記念館
   アイヌ民族資料館 機織・・・作り物であった 7/6〜8月 テーマ展 自己批判
   一度廃れた文化の文芸復興・・・実際の考証をしない
   常識をまず疑う 場の提供・・・今までの間違いを訂正・謝る
   本音で話せることのありがたさ
   喜怒哀楽の感情が日本人から失われている→危ない

 コロボックル論争
  縄文土器の文様とアイヌの文様が似ている・・・形質人類学
  日本人のルーツ・・・アイヌが大切 骨・血を持ち出す
  アイヌの文化13C  人・・・縄文人
  ヒトと文化を切り離して考えるべき
  似ている・・・環太平洋の地域全体が似ている