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僻村塾記録

平成17年度第6回僻村塾記録
「俳句の楽しさ6 海外俳句」  鷹羽 狩行氏

 2月チェニジア(アフリカの一番北側・日本の半分の面積・紀元前からの歴史・世界遺産7つある・南にサハラ砂漠)への旅
 NHK海外俳句の取材(NHK学園で通信教育を受けている方)で行く。平均年齢70才。
 ガン患者、余命3年と言われ5年生きている方が2名参加。 
 俳句人口2千万人の縮図で初心者から上級者まで。

 日本の季節は2月だが、海外で見た物を季語にする。
 11日間の日程。
 ドゥッガ(ローマ遺跡)は朝から暴風雨でも全員参加 ビニールのカッパは破れ傘の骨は折れる
 円形劇場の音響を感じてみるために手を叩く

       こだまして円形劇場冴ゑかへる(むなしい・透明感のある)

 カルタゴ遺跡・・・BC2800年フェニキア人が造営 ローマ帝国と3回戦争をして焼き払われる
 軍港・共同浴場が残る

       その上のカルタゴ知らずお花畑

 お花畑・・・夏の季語 2000m級以上の山のお花畑 戦争と平和を感じさせる クローバーやたんぽぽが咲き乱れる

 サハラ砂漠の近く 温度差 60℃
 29名がラクダに乗って歩く 夕陽が沈む頃帰る

       大西日飲み終わりたる砂漠かな   鷹羽狩行

 砂漠が太陽を飲み込む雄大な風景

       手に触れんばかり砂漠の星月夜

 星月夜(秋) 人工照明なし 宝石をぶちまけたような星

 マトマタ・・・山の斜面に横穴を掘って生活 スターウォーズの撮影地 遠景はクレーターのように見える
 暖房がきかなくて寒い
    
       洞窟の一夜をともに雪女

 春夏秋冬の句ができた。ミニ講座で季語を解説。
 添乗員も句会に参加、見よう見まねですぐに入っていける。
 チュニジアの現地ガイドの女性の句  人生の蜃気楼のように消えます 砂漠の地に小さな俳句の種を蒔く
 引き込まれて俳句を作る 現在50カ国 20万人が海外で俳句を作る
 世界の縮図 世界で一番短い三行詩

 海外俳句とは何か? 日本人が海外において詠んだ句
               明治28年正岡子規が日清戦争に従軍して詠んだ句
               1901年夏目漱石がロンドンで詠んだ句
               1936年高浜虚子がヨーロッパで詠んだ句
 在外詠とは       日本人が海外に駐在して詠んだ句 海外に深く根を下ろす

 海外俳句が激増している 季語・・・四季の巡る日本、海外に通じない
       日本と異なる風土・生活環境・習慣・気候
       絵はがき的なものが多い(地名+季語のような句)

 たんぽぽや長江濁るとこしなへ 山口誓子 たんぽぽの美しさ・長江の広さ
 摩天楼より新緑がパセリほど  鷹羽狩行 昭和44年作 セントラル・パークの新緑を見て詠む
       箱庭・湿潤な日本対ドライなアメリカ スケールの大きさを詠むには?広大
       剃刀のようなひ弱さ 尺貫法対メートル
       30年間上から見る解釈だったが最近新設、下から見上げる・・・インドのリスナー
       季語への暗黙の了解・・・解釈もなあなあ
       近づいて見れば大きなパセリかな・・・摩天楼が背景にある(本歌取り)
       選者が激賞・・・こんなとらえ方では。

 ブラジルへ平成8年5月に行く 片道24時間 ブラジルからの投句が多い
 日本の23倍の面積 イグアスの滝・コーヒー園・・・広すぎて行けない
 
       かけごいも国広ければ飛行機で        かけごい(掛け取り)は冬の季語
 
 大会を開催 700名参加 1世の人

       特選 母の日の母と太平洋隔て    母・産み・海 身近な人であるはずが海を隔てる
       新聞が注文を付けた・・・太平洋ではなく大西洋である
       母に対する心に広がる海は太平洋である。作者の心情が全くわからない人
 俳句は大人が日本の国で作るものという観念
 海外日本人学校250校の生徒5万人のコンクールの審査 12000句の応募あり

       オーロラのベールがなびく冬の空   神秘的な光の帯 作者の感動がベールと捉える
       オーロラは歳時記に冬の季語としていれてもよいのでは。
 夏の季語・・・スコール・椰子の木・バナナ・ドリアン・パパイヤ・パイナップル・白夜・氷河
 冬の季語・・・オーロラ・氷山・ペンギン

 カナダ アサバスカで夏に氷河を見る 雪が解ける涼しさ・見た目の涼しさ 雪渓も夏の季語
 
       太陽をOh!と迎えて老氷河

 海外旅行にはメモ 何を感じたかを書く 句を作っている時間がない
 一句に囚われずメモで・・・後で何に感動したか

       雪解けてウイーンの森が動き出す  子どもの句

 スイスのお祭り・・・高原で一夏過ごした牛が町に戻って来る。たくさんの乳を出した牛が花輪と鈴を付けて先頭に。 山下り(冬間近)・牧帰り・牧閉ざす→牧下りという造語を作った。

       牛飼ひは牛にまぎれて牧下り 鷹羽狩行 時期にはない季語を造語してゆくことも大切
 
 俳句=世界語 母国語の三行詩 海外詠・在外詠が盛んになってくるのではないか。
 
 Q&A

 Q。イタリアへ海外旅行・・・日本の季語が頭にあってなかなか作れない
 A。年末年始にハワイへ行く。日本は冬なので冬の句を作ろうとする。無駄な抵抗、夏の季語でもよい。

 Q。薪能はどうか?
 A。取らない。季節感がはっきりしない。奈良興福寺の薪能が始めだが、色んな行政や観光目的で新設され季節を特定できない。
   前置き、分かる季語を。

 Q。地元に木偶まわし(2月下旬)があるが、季語は正月の門付けをするとなっている。どう考えたらよいか。
 A。他の季語を持って来る。阿波踊りも出前があったりして季節感のはっきりしないものは季語を付ける。

 Q。しゃぼんだまの季語は何故春か?
 A。風車・風船・ブランコなど雪が解けて外で子どもが遊べるようになった季節春が元になっている。

   春  青  子供 朝    東  肌
   夏  赤  青年 昼    南  筋肉・骨へ
   秋  白  壮年 夕暮れ 西  胸(心)
   冬  黒  老年 夜    北  頭脳

   日本の映像文化センターが季語のビデオ化をした時、緑陰・・・緑の木陰でシャボン玉を飛ばしている(夏+春)
   枯蓮(冬の季語)の間を緋色の鯉が泳いでいる

 Q。天国はもう秋ですかおとうさん という句、どうして秋かなかなか納得できなかったが?
 A。天国は高さがほしい。旧盆が隠されている。澄む季節にふさわしい。地上は残暑。

 Q。風の盆の季語は夏でよいのか?
 A。夏でよい。全国区になっている。阿波踊りなども。

 Q。嫌いな句はないか?
 A。句碑・歌碑・石仏・仁王・寺社はとらない。
   新しさ、全体に生きていると感じられる句。

 Q。文語を使わなければならないか?
 A。基本は文語で、内容によっては口語も可。 文法は正しく。実作の中で失敗を重ねて覚えて行く。
   俳句は古典的生い立ち、基本的ルールを守る。
 
 Q。君と僕+−=0は俳句か?
 A。ことば遊びとしては面白いが俳句ではない。耳から聞いても分かる。Ohは邪道。
 
 Q。旧漢字はどうか?
 A。それを使って句が深くなるならよい。私は当用漢字を使う。 
   

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