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僻村塾記録 H19.8.19

     短編小説「レシタションのはじまり」のなりたち 朗読と分析  池澤夏樹氏

 私家版世界文学全集24巻刊行予定
 昨年10月〜12月まで北海道文学館で池澤夏樹展があった。
 文学者の場合、亡くなった時に生原稿・文房具・書斎などを展示するのだが・・・。
 僕はコンピュータで、ホテルの片隅で書くので、展示するものがない(机・筆記用具など)。
 写真ならあるということで、1978年のアフリカ旅行のものから展示した。
 写真を中心に、イラクのビデオなども。
 最初の一週間、夕方から1時間〜1時間半、日替わりで色んな本を朗読をした。

 今年4月「君のための薔薇」を出版し、イベントのために朗読をした。
 神戸・京都・東京(2回)・帯広・札幌 計6回実施。

 なぜ朗読をするのか?
 文学の原型は炉辺でおばあさんが語ることから始まり、文字で記録を残すようになってきた。
 書物の形で流布、数多く作れる(おばあさんは一人しかいない)。
 長く持つ、いつでも読める、書き込める。
 文学とは何かと考えると、それぞれの利点がある。

 口承文学・・・読むのはパフォーマンス
 聞き手は声・表情・ひびきで表現
 炉辺で話す時、寝ている子が起きるように大きな声を出したり、即興で話を作ったりする。
 たくさんの人が話し、流布された形。
 ホメロスのイーディアス オデッセイ
 口承 → 文字(目で読む)
 耳で聞いてもわからない言葉がたくさんある。
 本来朗読用に別の原稿を作るが、今日はプリントも忘れた。

 10年ぶりに短編を書いた。
 舞台を東京・パリ・沖縄・ブラジル・ヘルシンキ・カナダ小島・メキシコ
 ある男女が異なる文化に出会い帰る。
 地域の広がり、人と人・文化・言葉の出会い
 言葉の力の限界を知り落胆。
 9・11の後に書いた、その後の世界で生きる我々がどこかに出ている。
 心を動かすものを作る。

 「ムクンレ」
 現在ー未来ー過去 セバスチアーノが苦労したのは未来の部分
 21世紀文学の創造、岩波書店の手伝い 実作編をテーマを決め「言葉」に決めて1冊作る。
 小説家・詩人は言葉をいつも気にしているが、特に言葉を気にしてください。
 沖縄・津軽弁・言葉が主人公。

 この言葉があったら、世の中から争いがなくなる。殺される瞬間に効き目を現す。
 奥行きもない物語。
 異界に行って戻る、基本形になる。
 映画にできそうだが、「ムクンレ」がない。
 絶世の美女を映画にするには、美女が必要。
 9・11以降の望みの話。
 暴力から開放されるなら。
 禅の悟りには時間が必要。速効性。警察・軍隊は地球最大の暴力の専門家。
 民間、国と国に暴力がなくなれば。9・11がなかったら書かない。

 「静かな大地」の最後の部分、「熊になった少年」は、長い話を書いていると終わらない。
 終わらせ方・・・全体を象徴するような話。ある小学校で1時間の授業をすることになって、書き直した。
 トゥルンチとアイヌの対立。
 イキリという少年が主人公。

 Q。理系出身で今でも理科系に関心があるか?
 A。スピリチャアルなことに向かうことがあるが、化学的ラジカルな心がある。


 「星の王子さま」について

 フランスはカトリックの国。人間・自然・神、人間にとって自然とは?神は人間を特別に大切にしている。
 その人間が生きていく場所として自然がある。長く使えるように、目に心地よい・有用であるという考え方がある。

 キツネ・・・仲良しになろう、僕を君の家畜にしてくれと言っている(契約)。
 森・・・原始林のままではいけない。管理して美しく永続する。
 日本庭園・・・自然のまま、左右対称ではない。自然と人間は対等(そのままである)。
 自ら然るべくもの VS カトリック(手を加えてよりよいものにする)

 王子さま・・・火山の手入れ、人が手をかけ親しさが増す。
        薔薇の花、なぜ特別・・・世話をした。僕の方から働きかける(主体・主役)。
 「人間の大地」・・・抵抗する大地を鋤や鍬を使って働きかける。
 「星の王子さま」は本当に児童文学であろうか?大人になっても読みつくせない。
 絶望していた、人類は戦争しかできないのか。
 言いたいことをそぎ落として、言いたいことをおとぎ話風に書いた。
 しかし完結しない。カリカチュアと組み合わせる。
 子どもっぽい人、わがまま→王子さま
 コンスエロを薔薇の花にたとえる。

 「城砦」・・・比喩に満ちた本。希望は子どもにしかない。
 行きて帰りし物語・・・主人公(ウエンディ・アリス)を行く人になぞらえる。
 来て帰る・・・キリスト的
 聞いていて心が落ち着く=お経、生活の中で

 熊になった少年・南の島のティオ・切符をなくして・・・対象は主人公と同年齢
 

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