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講演会記録

平成14年度子どもの読書推進合同セミナー H15.03.8
 猪熊葉子氏講演会 「子どもも大人も本を読もう」
猪熊先生

 県立図書館にお話出てこいの皆さんと参加。講師は日本の児童文学の草分け的な存在。

 子どもに本を読ませることの効用については、あらゆる場所であらゆる人が言っている。本を読むことには明らかに効用がある。
 読書に目が向いているのは3割の子どもで、7割は目が向いていない。
 学校の朝の10分間読書で8割の子どもが興味を持ち、2割が興味がない。この興味がない子どもたちが大きくなったら本を読まないということは恐ろしい。読書に即効性を求めてはいけないが、現代社会に起こっている問題を知るために本を読むことは、それを解決できる大人を育てることである。

 ドイツのイエラ・リップマンは第二次世界大戦後の荒廃したドイツの子どもたちの心に栄養を与えなければという使命から、各国に児童図書を与えて欲しいと依頼し、児童図書の展覧会を開催した。

 言葉を持つのは人間だけであり、言葉には話言葉と書き言葉がある。
 話言葉には場が必要だが、本を読むことはいつでも著者とのコミュニケーションがとれる。心の中にあるもやもややわからないものを、文字に現すということで自分の外に出せる。想像力を養うことは大きな力になる。今いる自分から外に出ることができる。

 「読書力」斎藤孝著(岩波新書)の中で一つだけ納得できないことがある。本を離乳食(絵本 )・乳歯(児童文学)・永久歯とたとえてあり、児童文学を低い物と考えている。ある段階から本を読む気になればそれでよいと書かれているが、本当にそうだろうか?子どもの時から読んでいる人と大人になってから読む人は違うはずだ。
 ワーズワースの詩に「子どもは大人の父である」とある。

 幼い頃、できるだけ美しいもの、肯定的なものに出会うことが、人間って何てすばらしいものだという心を持つようになる。
 絵本作家は子どものためには書いていない。
 かつて子どもだった自分のために書いている
 「私が本を書くのは私が生きられなかった子供時代を生きるために書く」ローズマリー・サトクリフ著「思い出の青い丘」の自伝の中で書いている。

 物語を読むことは自分から外に出る。これを一番持っているのは昔話。物語はものすごい力を持つ。自分から出て、人の身に自分を置く。
 本当に想像力を持てたら人を殺すことはしない。

 映像ではできないこと・・・向こうから否応なしにやってくる。時間が限られているために起きる変更。人間の内部をあからさまに写せない。
 決闘シーンの人間の内面は、文字でなければ表せない。

 大人がしなくてはならないこと・・・常識にとらわれないこと。
 自分の人生に大切だった本が1冊でもあるか?それはどうしてか?
 読書推進はどれをとってもよい。子どもをよく見つめ、大人が子どもを本に近づける努力をする。子どもの本の種類の知識を持つ。
 子どもの本のコーナーに出入りすることを恥じない。
 日本人は児童文学を見下すが、ケストナーの「飛ぶ教室」を読むと泣けてくる。食わず嫌いの大人が多い。
 子どもは子どもの視線がある。子どもにしか見えない視点がある。

 大人が本を読む姿を子どもに見せる事が大切。
 文字の持つ力を身につけ、想像力で国境を越せる。

<感想>

この講演で2つのことに感動しました。

 本を読むことで人の考え方を知ってきた自分の方法は、それはそれでいいのだということ、優しさは想像力だと思っていますが、それに近いことを言われたことです。自分の生き方の方向性について、それはそれでいいのだと思えたことです。
 講師の猪熊先生の予備知識全くなしに参加した講演会でしたが、本当にいい講演でした。
 すえもりブックスから出版されている、猪熊葉子先生の「児童文学最終講義」は、今回の講演のさらに詳しい内容です。

関連ホームページ

国際児童図書評議会(IBBY)創立50周年記念大会の皇后陛下のお言葉
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/50ibby.html

イエラ・リップマン
http://www.kogumasha.co.jp/author/lepman.htm

ローズマリ・サトクリフ
http://www.ne.jp/asahi/plasma/jungle/sp_sutcriffbiblio.htm

フィリッパ・ビアス
http://www.toshokan.or.jp/hiko6.htm    

 
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